国内営業
K.S
本社 営業部一課
テスト
N.S
本社 技術部 テストグループ
機械設計
T.T
本社 技術部 設計グループ
機械組立
K.I
本社 製造部 機械組立グループ
機械組立
K.H
本社 製造部 機械組立グループ
電気組立
T.S
本社 製造部 電気組立グループ
国内営業
K.S
本社 営業部一課
テスト
N.S
本社 技術部 テストグループ
機械設計
T.T
本社 技術部 設計グループ
機械組立
K.I
本社 製造部 機械組立グループ
機械組立
K.H
本社 製造部 機械組立グループ
電気組立
T.S
本社 製造部 電気組立グループ
新鮮な野菜と紛れてしまった生き物との見極めは、機械ではなく人による目視選別が業界での常識だった。それでも原料の野菜と保護色を纏う生き物の100%の判別は簡単ではない。じっくりと時間をかければ判別除去も可能だが、野菜とて生き物。時間が経てば経つほどその鮮度は損なわれていく。
国内営業
K.S
異物が混入していることも、野菜の鮮度が落ちることも、どちらも企業イメージにはマイナスにつながってしまいます。その課題をどう克服し、両立させるかが、カット野菜メーカー様にとって、生き残っていくために喉から手が出るほどほしい“術”です。それは業界全体の悲願でもあるんですよ。


これだけニーズがあれば、様々な設備メーカーが手をかけていない訳ではない。しかし、100%の除去率を実現できる機械をつくる企業は1社もなかった。というのも、「検知」と「除去」はそもそも違った技術であり、その両立ができる企業はほぼない。けれど、単純にそれだけではなかったことが発覚する。
テスト
N.S
サンプル材料をテストした段階では、選別の目的については、これまでの技術で容易にクリアできると判断し、それを軸に開発をスタートさせたんです。だからみんなもそれほど難航するとは想像もしていなかったんです。
機械設計
T.T
楽勝ムードの中で進めていたものの、水が選別を邪魔することがわかったんです。カット野菜は水と一緒に流れてくるので、選別に使うカメラが水滴で完全な感知ができなくなってしまう。そうすると100%の除去ができなくて…。
国内営業
K.S
加えて、色認識でも調整に苦労しました。何せ、野菜と同じ保護色の生き物を検知させるので。異物に色合わせすると、野菜の鮮度の高い部分までも検知して除去してしまうんです。かといって、野菜向けに調整をすると目的である異物を検出できなくなるという堂々巡りでした。
水問題を解決するために、防水性や親水性などあらゆる手段を試してみたが良い結果は得られなかった。色の識別に関しても、何度も試験を重ねてはいたが、根本的な解決には至らず、重い空気が流れていた。そんなとき「装置上でできないのなら、選別しやすいよう前工程までつくってしまえばどうだろう?」と、服部社長から助言があった。
機械設計
T.T
選別機の機能で何とかしようという発想で開発を続けていたので目から鱗でした。それと同時に、専門外のモノづくりが加わるので、これはさらに大変な開発になると思いましたね。
国内営業
K.S
できるだけ水分を少なくする方法を工程に入れようと、搬送方法にも工夫を凝らすことに。色の問題は光源を追加することでクリアできるようになったんです。
どうしても選別機の機能や技術で何とかしてやろうと意気込んでしまう。けれど、それは力技でしかなく、同時に脆さを併せ持ってしまうこともある。柔軟な発想を持つことで、選別がもっと確実になる選択肢を持つこと。それがこのプロジェクトで再認識させられたのであった。


新たに開発を行なった前工程には、水飛沫を抑えるための脱水だけでなく、選別材料の野菜がほぐれるよう振動ふるいや空気圧で散らす機構を追加した。材料が通る部分には、野菜の張り付きを防ぐために、部品のコーティングや設置面形状を凸凹にする素材を採用することで解決した。機体洗浄後に残留する水を減らすために、機体面をわずかに傾けることで、メンテナンス性にも手が加えられた。こうして悲願のカット野菜用の異物選別除去システムができあがった。
国内営業
K.S
実はここまでにもう一つ、大きな問題を抱えていたんです。
テスト
N.S
社長が「やれます」とお客様に話しましたものね。
製造ラインの装置製造で一番の課題はサイズにある。高機能化のためサイズが大きくなってしまえば、当然ラインに収められない。かといって、サイズの制限があれば、一部機能や性能を諦めざるをえないこともある。何を取って、何をやめるか。その判断はクライアントに委ねられる。けれど、クライアント側は「何とか一つにできないか」と切望してきた。そのとき社長は、二つ返事でダウンサイジングすることを引き受けたのだ。
機械設計
T.T
物理的には難しいことではありませんでしたが、本来2つ必要な機械を1つにすることで除去率が下がってしまったんです。心が折れそうになりながらも、何度も手を入れながら求めていた機能にまで高めることができました。
機械組立
K.I
いつもなら、納入後に手を加えるのは調整レベルで済みますが、水に関しては想定していた水量を超えていたので、現場でようやく知れたことも多かったんです。そのたびに、組立に使う部品を防水タイプのものに変更するなど、普段トラブルが発生しない箇所なんかも、見直しを加えて修正していくということをずっと繰り返していました。
機械組立
K.H
水を使う装置というものが初めてだったので、すべてと言ってもいいくらい、気遣う箇所が違っていて…。例えば、今までのレベルの溶接精度では水漏れが起こってしまったり。それを直した後に稼働させながらチェックしていると、今度は水が多いことでベルトが縮んだりして。据付する環境もこれまでの装置とは比べ物にならないほどシビアなコンディションでしたね。
テスト
N.S
それには私たちも神経質になりました。電気には水が大敵。しかも、この装置には水に対応するために見たこともない装置や部品が信じられないほど使われていましたし、初めて扱うパーツや電装関係品も多かったんです。一番は水を使った試験が自社内でできなかったことですね。納入先の水量と同じ環境は、さすがに自社内では作れないですから、現場で確認して調整して、ダメなところを出して、試行錯誤して、一つひとつ潰していきましたね。
こうして、服部製作所として初めての水の格闘は一段落し、カタチとなって本格稼働に入った。それにしてもこの装置づくりでの各人の学びは大きく、意義深いものになった。加え、社長の英断も難題への挑み方や諦めない精神を再確認させられた。中でも設計のT.Tは、彼と同じエンジニアとしての社長の判断に、技術屋としての意地と誇りを持つ大切さと情熱を呼び覚まされたのだという。もちろん彼だけではなく、このプロジェクトに関わった全員がきっと同じだったに違いない。確かに無理難題の部類ではあるが、不可能かといえばそうではない。やるかやらないか。そこにエンジニアとして成長できる何かがある。そう断言できるのは、これまでも経験してきたからだ。Noというのは容易い。けれどYesというのは勇気がいる。そんなイズムを胸に、カット野菜の設備が完成し、世界でたった1台の2in1選別システムは完成した。
国内営業
K.S
今回のプロジェクトでは、お客様の意見、営業としての視点との折衷案を設計に伝えることの難しさを改めて実感させられました。それだけに営業として何をしなければならないのか勉強になったと思います。結果的に、自動化で目視選別の人数が減り、他の作業に回っていただけるようになったことは大きな成果でした。同時にまた新しい課題も見つけられ、今はその対応のための提案を行なっています。
テスト
N.S
当初はこんなに難易度の高い開発になるとは想像もしていませんでした。水があれだけ判別に影響することもそうでしたが、一番驚いたのは、納入先のラインによってモノづくりのベースから対策方法まで大きく変わること。あと、野菜といっても幅広い品種があるので、種類によっては同じ環境であっても特性が変わるので、広い視野を持って取り組まねばならないと実感させられました。
機械設計
T.T
このプロジェクトは納入後にも続きがあります。それは日々の設備清掃に次亜塩素酸水が使われていること。これは金属ととても相性が悪く、機体表面に錆が生じるので、その対応にも当たりました。それと24時間稼働のため、想定よりも部品の劣化が激しいこと。こうした業界の特性や使われ方など、もっと深い部分も共有して、設計に落とし込んでいかねばならないことにも気づかせてくれたプロジェクトでした。
機械組立
K.I
先入観ではないのですが、今までの常識が覆されるほど、組み付けやパーツセレクトに関して考えさせられる仕事になりました。思わぬところから水が入り、想像もしていなかったところが劣化する、そんな経験はこれまでにしてこなかったので、本当に発見が多いプロジェクトでしたね。この経験はこれからのモノづくりに大きく役立つと思います。私たちもバージョンアップしなければならないと再確認しましたね。
機械組立
K.H
このプロジェクトはやはり水という大敵との向き合い方が全てで、この機会に学べたことも本当に大きかったです。水によって選別素材が付着する・縮んでしまう、想定していない箇所が錆びるなど、今まで起こりづらかったことが全て表面化したので、水対策のノウハウはかなり蓄積できたと思っています。やはり実際の現場環境下で得られるものは大きくて、まだまだ成長実感を持てるんだと思いました。
電気組立
T.S
私は設計から異動してきたので、現場環境での稼働から得られる情報の多さに前々から驚いていたんです。そして今回の水を多用する案件は、設計時代も含めて経験がなかったので、困難も多かった分、得られる情報がさらに多かった印象です。服部製作所は、世の中にないモノづくりが多いので、このプロジェクトで学んだ知見を他の装置開発にも応用してゆけるようにしていきたいですね。